障害年金の額

障害の程度
障害厚生年金・障害手当金
1級 報酬比例の年金額×1.25
+配偶者加給年金額234,800円
2級 報酬比例の年金額+配偶者加給年金額234,800円
3級 報酬比例の年金額
最低保証額=障害基礎年金(2級)の額×(4分の3)=612,000円
障害手当金 報酬比例の年金額×2
最低保証額=障害基礎年金(2級)の額×(4分の3)×2=1,220,600円
障害の程度 障害基礎年金
1級 1,020,000円
+子の加算234,800円
2級 816,000円
+子の加算234,800円

障害基礎年金の額

1級 1,020,000円
2級 81,600円

《1》 子の加算

① 子の要件
 従来、加算対象の子は、受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していたことが要件とされていましたが、「その権利を取得した当時」という要件が削除されました(平成23年4月1日施行)。

A.障害基礎年金の受給権者によって生計を維持しているその者の子であり、
B.18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満であって障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子に限る。
② 加算額

加算対象の子 加算額
1人目 234,800円
2人目 234,800円
3人目以降 78,300円

③ 加算額の増額改定

 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の子を有するに至ったときは、その翌月から、障害基礎年金を改定する。

④ 加算額の減額改定

 加算対象の子が、次のいずれかに該当したときは、当該月の翌月から減額改定が行われる。

a.死亡したとき
b.受給権者による生計維持の状態がやんだとき
c.婚姻したとき
d.受給権者の配偶者以外の者の養子となったとき
e.離縁によって、受給権者の子でなくなったとき
f.18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(ただし、障害等級に該当する障害の状態にある時を除く)
g.障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき(18歳達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く)
h.20歳に達したとき

《2》 障害の程度が変わった場合の年金額の改定

 障害の程度が変わった場合の障害基礎年金の額の改定には、職権改定と請求による改定があります。

① 厚生労働大臣の職権改定

 厚生労働大臣は、障害基礎年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、障害基礎年金の額を改定する。

② 受給権者の請求による改定

 障害基礎年金の受給権者は、厚生労働大臣に対し障害の程度が増進したことによる障害基礎年金の額の改定を請求することができる。

《3》 「その他障害」による額の改定

 障害基礎年金の受給権者にさらに障害等級1級・2級に該当しない程度の軽度の障害(その他障害)が発生し、その他障害の障害認定日以後65際に達する日の前日までの間に、前後の障害を併合した障害の程度が受給中の障害基礎年金の障害の程度より増進したときは、当該障害基礎年金の額の改定を厚生労働大臣に請求することができる。

障害厚生年金の額

1級 報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給年金額234,800円
2級 報酬比例の年金額+配偶者加給年金額234,800円
3級 報酬比例の年金額※ 最低保証額=障害基礎年金(2級)の額×(4分の3)
障害手当金 報酬比例の年金額×2※最低保証額=障害基礎年金(2級)の額×(4分の3)×2

《1》 報酬比例の年金額は、次のように計算されます。

報酬比例の年金額 = (A+B)×1.031×0.985(物価スライド率)

※障害手当金は一時金のため、物価スライド率の適用はありません。

A:平成15年3月以前の被保険者期間

 平均標準報酬月額※1 × 7.5/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数※3

B:平成15年4月以後の被保険者期間

 平均標準報酬額※1 × 5.769/1000 × 平成15年4月以後の被保険者期間の月数※3

※1 平均標準報酬月額・・・平成15年3月以前の被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月以前の被保険者期間で除して得た額です。

※2 平均標準報酬額・・・・平成15年4月以後の被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以後の被保険者期間で除して得た額です。

※3 被保険者期間が、300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。

 また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金額計算の基礎とはされません。

《2》 加給年金額

 障害等級1級又は2級に該当する障害厚生年金の額には、配偶者加給年金額が加算される。

① 加給年金対象者

 受給権者により生計を維持している65歳未満の配偶者

※従来は、「受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者」がいる場合に加算されていましたが、法改正によって「受給権者によって生計を維持している」とされました(受給権を取得した当時に配偶者がいなくても、その後に生計を維持している配偶者があれば、加算されます)。


② 加給年金額

  234,800円

※受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者を有するに至ったことにより加給年金額を加算することになったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、障害厚生年金の額を改定する。

③ 加給年金額の消滅

 加算対象額の対象となっている配偶者が、次のいずれかに該当したときは、その翌月から支給しない。

a.死亡したとき
b.受給権者による生計維持の状態がやんだとき
c.離婚したとき
d.65歳に達したとき(大正15年4月1日以前に生まれた者を除く)

④ 支給停止

 老齢厚生年金の配偶者加給年金額の支給停止と同じ理由により支給が停止される。

《3》 年金額の改定

① 厚生労働大臣の職権改定

 厚生労働大臣は、障害厚生年金の受給権者の障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、、その程度に応じて、障害厚生年金の額を改定することができる。

② 受給権者の請求による改定

 障害厚生年金の受給権者は、厚生労働大臣に対して、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる(受理の権限に係る事務は日本年金機構に委任)。改定請求は、障害厚生年金の受給権を取得した日又は①による厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければできない。

但し、省令に定められた障害の程度が増進したことが明らかである場合には1年を待たずに請求することができます。

1年を経過しなくても額の改定を請求できる場合

障害の状態(眼)
1 両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの
2 一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの
3 両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの
4 一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの
5 ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの
6 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
7 ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
8 ゴールドマン型視野計による測定の結果、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2視標による両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの
9 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
障害の状態(聴覚・言語機能)
10 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
11 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
12 喉頭を全て摘出したもの
障害の状態(肢体)
13 両上肢の全ての指を欠くもの
14 両下肢を足関節以上で欠くもの
15 両上肢の親指および人差し指または中指を欠くもの
16 一上肢の全ての指を欠くもの
17 両下肢の全ての指を欠くもの
18 一下肢を足関節以上で欠くもの
19 四肢または手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害または脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限る)
※完全麻痺の範囲が広がった場合も含む
障害の状態(内部)
20 心臓を移植したものまたは人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの
21 心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの
22 人工透析を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る)
障害の状態(その他)
23 6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)を使用しているもの
24 人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置を行ったもの(人工肛門を使用した状態および尿路の変更を行った状態が6月を超えて継続している場合に限る)
25 人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテ-テルの使用または自己導尿(カテーテルを用いて自ら排尿することをいう)を常に必要とする状態をいう)にあるもの(人工肛門を使用した状態および排尿の機能に障害を残す状態が6月を超えて継続している場合に限る)
26 脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)または遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの
27 人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る)

③ その他障害による併合改定

 障害厚生年金の受給権者は、次のいずれにも該当するときは、厚生労働大臣に対し、65歳に達する日の前日までに、障害厚生年金の額の改定を請求することができる。

a.障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害状態にある受給権者にかかるものを除く)の受給権者であること

b.その者が疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病(当該障害基礎年金の支給事由となった障害に係る傷病の初診日後の初診日があるものに限る)に係る当該初診日の被保険者であったものが、

i. 当該疾病により障害(障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害・・・「その他障害」という)の状態にあり、
ii. 当該傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、
iii. 当該障害厚生年金の支給事由となった障害とその他障害(その他障害が2以上ある場合は、すべてのその他障害を併合した障害)とを併合した障害の程度が当該障害厚生年金の支給事由となった障害の程度より増進したとき

④ 障害基礎年金との併合改定

a. 障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害状態にある受給権者に係るものを除く。以下bまで同じ)の受給権者が国民年金法による障害基礎年金(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給されるものを除く)の受給権を有するに至ったときは、当該障害厚生年金の支給事由となった障害と当該障害基礎年金の支給事由となった障害とを併合した障害の程度に応じて、当該障害厚生年金の額を改定する。

b. 障害厚生年金の受給権が、国民年金法による障害基礎年金の受給権を有する場合において、その他障害との併合により障害の程度が当該障害基礎年金の支給事由となった障害の程度に増進したときは、併合された障害の程度に応じて、当該障害厚生年金の額を改定する。